さて、帛紗の次に仕立てに掛りましたのは、茶杓の袋と菓子切りの袋です。先回の「茶の袋 お仕立てものがたり〜古帛紗編」でご紹介しましたとおり、今回使用する裂地は2種類。S様のお着物の裂地とローマ在住の染織家 斎藤田鶴子さんが織られた裂地です。
斎藤田鶴子さんの裂地は、その大きさと雰囲気から、「茶杓の袋と香合の袋に仕立てよう。」と当初から決めておりました。
*記事:「工房 多津蔵」 河合 多津子さん
【茶杓の袋】
間道柄(縦のストライプ柄)の優しい色合いの裂地です。シルクとパシュミナの混ざった感じで、しっとりした風合いがなんともいえません。
細い茶杓には、どの部分のストライプを使うのがベストか・・・迷うところでしたが、裂全体のイメージを形作っているカフェオレ色の部分を表に使う事にしました。
優しい感触と色合いは細めの茶杓をしっとりと包み、茶箱の掛合の上に納まりました。
引き続き、同じ裂地で菓子切りの袋も仕立てました。
茶箱には菓子切りは入りませんが、お客様お気に入りの菓子切りをお持ちいただいたので、こちらも茶杓と同じ裂地でお仕立てするのもお洒落かなと思い、作ってみました。
【菓子切りの袋】
水牛の角の菓子切りは持ち手の部分に厚みがあり、持ちやすいのですが、袋の作り手としては、ちょっとスリットの厚みを加減しなくてはいけませんので、少々難しいものでした。
ですが、無事に仕立て上がりまして、こちらは裂地に折りこまれた若草色の部分をアクセントとし、また全体を引き締める為に、裏地となる部分に錆朱の色を選んでみました。
菓子切り単品として見て頂いてもなかなかお洒落な感じだと思います。懐紙に挟み、懐中されても嬉しい品と思います。
工房 多津蔵
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